13人目の怒れる男

主に本や映画の感想など。語る人がいないのでブログに書いています。

輪廻

2回目の鑑賞。昔初めて観た時に、優香の演技とストーリーの面白さに感銘を受けた映画。

今回観ても、やっぱりというか、前回以上にめちゃくちゃおもしろい。まず何より優香の演技が素晴らしいよね。怖がるところもぶっ倒れるところもリアルだし、ラストシーンは鳥肌もの。邦画ホラーでここまでの演技はまだ見たことない。そして何よりかわいい(当時まだ25才!)。

あとはやっぱりストーリーの良さ。正直そんなに怖い演出はないし、輪廻転生のテーマもそんなに深く触れてないし、どちらかというとストーリー重視のサスペンス映画の印象。後半で分かるけどミスリードさせるの本当うまいなあと思うし、8ミリカメラの映像と並行して進む演出も良い。同じ監督だけど呪怨より全然好み。一番好きな邦画ホラーを挙げるなら今のところは間違いなくこれ。

君の名は。

昨年最も話題になったと言っていい映画。アニメは普段観に行かないため避けていたが、邦画の歴代興行収入第2位を記録したこともあり、映画好きを自称するなら観ておかなければと思い鑑賞。
一言でいえば、震えるような映画だった。ここまでどストレートに心に刺さる映画は久々に見たかもしれない。男女の体が入れ替わるという王道のコンセプトでありながら、徐々に二人の距離が縮まっていく初々しさとロマンチックさと快感、でも実は違う時間軸を生きており現実には会うことができない切なさと悲しさ、時間を超えるSF的な神秘的感覚、そして終盤の感動と胸が満たされる感覚。観客の感情を揺さぶり、どん底に落としながらも希望を見せ、「生きていてくれ!」「二人を引き合わせてくれ!」という願いを最後には叶え、満足して帰らせてくれる。シンプルでストレートながらも盛り上げ方もうまく、本当によくできているなあと思う。高校生の時に初めて細田監督の時をかける少女を観たが、鑑賞後の胸が詰まる感覚を思い出して、そう、こんな感じだったなあと懐かしく思った。その時に劣らないくらいショッキングな映画だった。
なぜこんなにも人気なのかと見ている間もずっと考えていたが、王道で分かりやすそうだからこそ、大人でも観れそうだと思って足を運ぶ人が多いのかもしれない。自分も最初は、男女の体が入れ替わるという分かりやすいコンセプトに綺麗な映像のアニメという印象で、高校生の恋愛ならちょっと青臭そうだが観れなくはなさそうだと思っていた。奇をてらって難しいことをせずストレートに作ったことが結果として客層を限定せずここまでの人気に繋がったのかなと思う。全くの私見だけど、宮崎駿が引退しジブリが新時代に入る中、国民的アニメ映画を作ることができる存在は細田守ぐらいかと思われていた中でこの映画が公開されたという状況も、注目を浴びる一因になったかもしれない。

フルメタルジャケット

2001年宇宙の旅以来のキューブリック作品の鑑賞。まず字幕が最高。冒頭5分の教官の怒涛の罵倒シーンは最高におもしろい。教官の罵倒のセリフと翻訳が秀逸で、個人的にはこの教官がこの映画の主役だと言いたいほど強烈。

キューブリックは戦争そのものを描こうとしたらしいが、正に狂っている。訓練は気違いじみているし戦闘による命の奪い合いも恐ろしい。そういえば今日のニュースの特集でも自衛隊の特殊部隊の訓練への密着取材をしていたが、心が折れかけたやつの顔は抜け殻のように本当に死んでいた。人間精神的に追い込まれるとああなるのかと恐怖を感じた。歴史を見ても国家に軍事力は必要で、誰かがその戦力とならなければならないと思うが、自分は決して関わりたくないなあと心底強く感じたのと同時に、関わらなくてすむこの境遇をありがたく感じる。

メメント

んー難しいけどおもしろい映画だった。時系列をひっくり返して細切れに物語が進むという見せ方が斬新。その分複雑で頭がついて行かない。結局、誰の言っていることが正しいのかは分からずじまいだが、最後のワンシーンの通り解釈すると辻褄が合いそうだ。

おもしろいのは、順序が逆に細切れに進むことで必死に頭を回転させないといけないので、自分も主人公のように記憶が10分しか持たないような気分になること。普通のサスペンスとしても十分おもしろそうだが、見せ方をうまく工夫したなと思う。

幼年期の終わり

人類、広くいえば知的生物が進化し、全宇宙の神のような存在へとなっていく話。映画版のみの鑑賞だが2001年宇宙の旅と非常に似たテーマで、宇宙を旅するロマンはないものの、この想像力はすごいなあと思う。科学や生物の進化に対する筆者の考えというか強い信念が伝わってくる作品。

GODZILLA

ギャレス・エドワーズ監督作品ということで鑑賞。しょうもない映画だった。こういうありきたりな映画って本当につまらない。危機が起きて、主人公が立ち向かって、家族のドラマがあって。観客が予定調和の娯楽映画を求めるからか、供給側がそれに迎合するからか。

モンスターズ 地球外生命体

ローグ・ワンのギャレス・エドワーズ監督のデビュー作ということ鑑賞。

SF映画かと思っていたが、主題はSFではない。それぞれ何かを抱えて生きる男女が非日常の中で出会い距離を縮めていくドラマである。男は酔った勢いでヒロインを口説いたり知らない女を抱いたり、婚外子がいたりといい加減そうな奴。女は婚約者についてあまり語らなかったり指輪を躊躇いなく売るあたり、何か問題を抱えていそうな様子。最後の電話のシーンがこの映画のクライマックスで、感極まる男と冷めきった女、そんな男を見て気持ちが揺れているようにも見える女、対照的な二人の姿が印象に残る。

「何もなかったのか?」「何事もなかったようにこれから生きていくのか?」劇中にそんな男のセリフがあったかと思うが、非日常を通して自分の人生を見つめ直す清々しさ、切なさというものがこの映画にはある。二人には是非幸せになって欲しい。正直SFの要素や最後の象徴的なシーンにどんな意味があり何を意図していたのかはよく分からないが、非日常を演出するための要素だったのかもしれない。パニック映画を求めていたけど、思いがけず良いドラマを見ることができた。