13人目の怒れる男

主に本や映画の感想など。語る人がいないのでブログに書いています。

今際の国のアリス ドラマ版 〜ある意味で現代日本らしい生死観の表れ

考察でググってもあらすじや薄っぺらい感想しかないクソ記事ばかりだし、Twitterも他人の考察の垂れ流しの多いことよ。いつからネットはこんなになっちまったんだい。さすがにTwitterでネタバレは憚れるのでここで書きたい。 【以下ネタバレあり】 ゲームに…

たった一人の熱狂

幻冬舎代表取締役の見城さんの刺さる言葉をまとめた一冊。仕事へのモチベーションが上がる本としては過去最高かもしれない。圧倒的に努力し、上司ができないと言う仕事をやり、徹底的に考え抜く。一方で豪快な人かと思いきや繊細な部分もある。日々反省・苦…

コロナが歴史に果たす役割とは何か(書評「ペスト大流行 ヨーロッパ中世の崩壊」)

以前に興味があって読んだのだが、ここ最近の新型コロナの流行もあり、今読んだら面白そうだと思い改めて読み返してみた。人的被害の面では新型コロナの比ではなかった14世紀のペスト大流行(著者推計で全世界の死者7,500万人)は当時の世界をどう変えたのか…

人生で初めて広島へ行ってみた

昨日今日で初めて広島市へ一人で訪れた。書き残しておきたいことが多かったので、まとまりのない文書だが書き記したい。 【1. なぜ広島なのか】 宮島へは一度行ったことがあるが広島市へはこれまでなかった。世界初にして最大の被爆都市である広島は、日本人…

ロリータ(1962年)

キューブリック作品がいくつか好きなのと、タイトルに惹かれて観てしまった。結論から言うと、観なくてもよかった。ロリータを連れ回して抑圧しようとする主人公の行動は、もはやロリコンという単なる性的嗜好に収まらず、前時代的・中世的な匂いがして観て…

評決のとき

<ネタバレあり>復讐による殺人は許されるのか、司法制度はどう裁くのかというのが主題だか、安定や安全を捨てて自分の正義をどこまで貫けるのかというのもまたテーマである。現実では正義を貫ける人などいないので、だからこそ自分を貫く主人公に惹かれ、…

大人の方が刺さるかもしれない、トイストーリー4

シリーズ4作目でそろそろ飽きてくる頃だが、テンポ良く短い時間で仕上げているのは好印象。作中でキャラクターが自分の内なる声に従うシーンが度々出てくるが(決定的なのはラストシーン)、自分の幸せは自分で見つけるしかないんだよ、自分の本心に従えとい…

男の夢が詰まった映画、ウルフ・オブ・ウォール・ストリート

金、女、豪遊、地位と名誉、男の夢がこれでもかと詰められた映画(無論ドラッグは例外)。誰もが本能に忠実、頭のブッとび具合が観ていて爽快で、押さえつけていた本能が呼び覚まされる感覚。案外こういう単純でストレートな映画の方が魂を揺さぶったりする…

ライフ・オブ・デビッド・ゲイル

※ネタバレありおそらくだけど作り手は純粋なサスペンス映画を作りたかったんだと思う。そういう視点で観れば、それはそれで面白かった。ただし突っ込みどころも多い。死刑制度の撤廃を熱心に訴えるわりに自分の命(あるいは仲間の命)はずいぶん軽々と捨てて…

実写版アラジンは、キャリアウーマンと男の友情の話になっていた

かなり個人的な偏見だけど、昔からディズニーと言えばヒロインのお姫様が困難を乗り越えながらも王子様とハッピーエンドを迎えるファンタジーという印象が強くて(白雪姫やシンデレラくらいしか知らなかった)、あんなのは女子が観るもんだと勝手に決めつけ…

日本映画の傑作と名高い黒澤明「七人の侍」を観てみた

正月なので古典映画でも観るかということで、前から気になっていた黒澤明監督の「七人の侍」を鑑賞。かなり昔に初めて観た黒澤作品「羅生門」はサスペンスのようなストーリーや演出が印象に残っており、「隠し砦の三悪人」はエンターテイメントとして完成度…

名匠・黒澤明の傑作を観てみた

正月なので古典映画でも観るかということで、前から気になっていた黒澤明監督の「七人の侍」を鑑賞。かなり昔に初めて観た黒澤作品「羅生門」はサスペンスのようなストーリーや演出が印象に残っており、「隠し砦の三悪人」はエンターテイメントとして完成度…

今年読んだ面白かった本

年末なので今年一年で読んだ本を振り返りながら、特に面白かった本を挙げてみる。・サピエンス全史最も印象に残っているのはこの一冊。人間の歴史は貨幣や宗教や国家といった虚構を作り集団を大きくしてきた過程であるという歴史観に立っている。資本主義と…

生涯投資家

村上ファンドで有名な村上世彰さんの回顧録。村上ファンドが世間を騒がせた2006年頃は中学生だったので名前を知っている程度だったが、当時の投資ビジネスの最前線で何が起きていて、その中心にいた人達が何を考えどう行動したのかを知ることができる。村上…

ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生

すでに5作目まで制作が決まっていると言われるスピンオフの2作目。本作の監督はシリーズ6作連続でデヴィッド・イェーツ、映画自体も目新しさはないが安定して楽しめる、まさに安心と信頼のシリーズになっている。全5作で舞台となる都市も毎回変わるようで、…

営業の魔法

「ウォール街の狼が明かすヤバすぎる成功術」とあわせて購入。同書がトップセールスとしての心得や具体的な営業手法、顧客との付き合い方など営業全般なのに対して、こちらは営業としての基本的なマインドや商談の際の会話の進め方が中心になっている。ウォ…

日本史の論点

古代から現代まで、日本史のポイントについて現在主流とされる学説を浅く広く掴める一冊。新しい発見も結構あり、例えば明治維新は単なる江戸の否定ではなく江戸と連続性を持った革新であったという見方は新鮮だった。主流な学説も日々変化しているので、学…

ウォール街の狼が明かすヤバすぎる成功法則

知人が読んでいておもしそうだったので、営業の参考にと思って読んでみた。結論としてはかなり為になる内容だった。著者はセールスで成り上がってきたセールス営業至上主義で、営業としてのし上がるための心構えから具体的な営業手法について説明されている…

高橋是清自伝(上)

この人のことはほとんど知らなかったが日露戦争時に財政面で活躍した、経済政策で手腕を発揮したとどこかで読んで個人的に気になっていた。明治の松方正義、昭和の高橋是清と言われるぐらいだから凄い人に違いないと思い手に取った一冊。読んでみて思ったの…

クレイジー・リッチ!

付き合った彼の実家が大富豪で、周りには妬まれるし彼の家族からも良く思われないしどうしよう…という話。彼氏の母親に気に入られようとしたりパリピ女達がウェーイしたり本筋はまったくどうでもよいが、主人公二人と良識ある何人かの友人の奮闘だけが唯一の…

ペスト大流行

人類史上でも類を見ないペストというパンデミックはなぜ起こったのか、歴史にどのような影響を与えたのか、純粋な好奇心からこの本を手に取った。知らなかったが意外にもペストは歴史的に何度も流行していて直近だと19世紀に世界的に流行ったということだっ…

昭和史 戦後編

個人的には戦後の軽軍備・経済重視のおかげで今の平和と豊かさを享受できているので戦後の日本の方向性はそこまで間違っていなかったと思う。ただし筆者の見解と同じくバブル崩壊を転機に今後も衰退の一途を辿るのは確実で、危機感を持って少しでも経済的競…

お金2.0

簡単にまとめると、将来的に技術の発展により働かなくても十分に生きていける社会が実現し、資本主義の支配が薄まり社会経済システムそのものが根本から変わっていくのではないかという話。ただし個人的には筆者はテクノロジーによる発展を過信しすぎている…

サピエンス全史

人類の進化のキーポイントとして認知革命、農業革命、科学革命があったとし、宗教も国家も資本主義や自由主義のようなイデオロギーも人類が集団を大きくするために頭の中で作り出した虚構に過ぎないと言い切る。この辺の主張は無神教の自分には特に抵抗なく…

輪廻

2回目の鑑賞。昔初めて観た時に、優香の演技とストーリーの面白さに感銘を受けた映画。今回観ても、やっぱりというか、前回以上にめちゃくちゃおもしろい。まず何より優香の演技が素晴らしいよね。怖がるところもぶっ倒れるところもリアルだし、ラストシーン…

君の名は。

昨年最も話題になったと言っていい映画。アニメは普段観に行かないため避けていたが、邦画の歴代興行収入第2位を記録したこともあり、映画好きを自称するなら観ておかなければと思い鑑賞。一言でいえば、震えるような映画だった。ここまでどストレートに心に…

フルメタルジャケット

2001年宇宙の旅以来のキューブリック作品の鑑賞。まず字幕が最高。冒頭5分の教官の怒涛の罵倒シーンは最高におもしろい。教官の罵倒のセリフと翻訳が秀逸で、個人的にはこの教官がこの映画の主役だと言いたいほど強烈。キューブリックは戦争そのものを描こう…

メメント

んー難しいけどおもしろい映画だった。時系列をひっくり返して細切れに物語が進むという見せ方が斬新。その分複雑で頭がついて行かない。結局、誰の言っていることが正しいのかは分からずじまいだが、最後のワンシーンの通り解釈すると辻褄が合いそうだ。お…

幼年期の終わり

人類、広くいえば知的生物が進化し、全宇宙の神のような存在へとなっていく話。映画版のみの鑑賞だが2001年宇宙の旅と非常に似たテーマで、宇宙を旅するロマンはないものの、この想像力はすごいなあと思う。科学や生物の進化に対する筆者の考えというか強い…

GODZILLA

ギャレス・エドワーズ監督作品ということで鑑賞。しょうもない映画だった。こういうありきたりな映画って本当につまらない。危機が起きて、主人公が立ち向かって、家族のドラマがあって。観客が予定調和の娯楽映画を求めるからか、供給側がそれに迎合するか…