サピエンス全史
人類の進化のキーポイントとして認知革命、農業革命、科学革命があったとし、宗教も国家も資本主義や自由主義のようなイデオロギーも人類が集団を大きくするために頭の中で作り出した虚構に過ぎないと言い切る。この辺の主張は無神教の自分には特に抵抗なく腑に落ちたけど、一神教徒には相当受け入れ難いんじゃないだろうか。とは言え、いくら稼げるかとか、どれだけ可愛い異性と出会えるかとか、自分が今夢中になっていることすらも資本主義や恋愛における自由といったその時代や地域の支配的な思想の影響下にあるので、一神教徒を馬鹿にできる立場ではないと気づく。本来は金を稼ぐことにも自分の夢を追うことにも、もっと言えば人生そのものにも意味はないのに、勝手にあれこれ考え出して何者かになったり何かを成し遂げないといけないかのように苦悩しながら生きている人類は、大して考えもせず生きているその他大勢の生物よりある意味では不幸な存在かもしれない。
科学がもたらした現代の繁栄と平和を筆者は過大評価し過ぎているような気もするが、人類の未来の行方についてはおもしろいことを書いている。人類が神の如く生命に手を加えることになるかもしれないし、人工知能や人類を超越した全く別の生物が人類に取って代わる可能性もある。この辺りの進化の行方は幼年期の終わりや2001年宇宙の旅でも語られたテーマだが、どんな形であれ特異点を迎えるという未来は十分あり得るんじゃないかと思う。
輪廻
2回目の鑑賞。昔初めて観た時に、優香の演技とストーリーの面白さに感銘を受けた映画。
今回観ても、やっぱりというか、前回以上にめちゃくちゃおもしろい。まず何より優香の演技が素晴らしいよね。怖がるところもぶっ倒れるところもリアルだし、ラストシーンは鳥肌もの。邦画ホラーでここまでの演技はまだ見たことない。そして何よりかわいい(当時まだ25才!)。
あとはやっぱりストーリーの良さ。正直そんなに怖い演出はないし、輪廻転生のテーマもそんなに深く触れてないし、どちらかというとストーリー重視のサスペンス映画の印象。後半で分かるけどミスリードさせるの本当うまいなあと思うし、8ミリカメラの映像と並行して進む演出も良い。同じ監督だけど呪怨より全然好み。一番好きな邦画ホラーを挙げるなら今のところは間違いなくこれ。
君の名は。
フルメタルジャケット
2001年宇宙の旅以来のキューブリック作品の鑑賞。まず字幕が最高。冒頭5分の教官の怒涛の罵倒シーンは最高におもしろい。教官の罵倒のセリフと翻訳が秀逸で、個人的にはこの教官がこの映画の主役だと言いたいほど強烈。
キューブリックは戦争そのものを描こうとしたらしいが、正に狂っている。訓練は気違いじみているし戦闘による命の奪い合いも恐ろしい。そういえば今日のニュースの特集でも自衛隊の特殊部隊の訓練への密着取材をしていたが、心が折れかけたやつの顔は抜け殻のように本当に死んでいた。人間精神的に追い込まれるとああなるのかと恐怖を感じた。歴史を見ても国家に軍事力は必要で、誰かがその戦力とならなければならないと思うが、自分は決して関わりたくないなあと心底強く感じたのと同時に、関わらなくてすむこの境遇をありがたく感じる。
メメント
んー難しいけどおもしろい映画だった。時系列をひっくり返して細切れに物語が進むという見せ方が斬新。その分複雑で頭がついて行かない。結局、誰の言っていることが正しいのかは分からずじまいだが、最後のワンシーンの通り解釈すると辻褄が合いそうだ。
おもしろいのは、順序が逆に細切れに進むことで必死に頭を回転させないといけないので、自分も主人公のように記憶が10分しか持たないような気分になること。普通のサスペンスとしても十分おもしろそうだが、見せ方をうまく工夫したなと思う。
GODZILLA
ギャレス・エドワーズ監督作品ということで鑑賞。しょうもない映画だった。こういうありきたりな映画って本当につまらない。危機が起きて、主人公が立ち向かって、家族のドラマがあって。観客が予定調和の娯楽映画を求めるからか、供給側がそれに迎合するからか。