13人目の怒れる男

主に本や映画の感想など。語る人がいないのでブログに書いています。

ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生

すでに5作目まで制作が決まっていると言われるスピンオフの2作目。本作の監督はシリーズ6作連続でデヴィッド・イェーツ、映画自体も目新しさはないが安定して楽しめる、まさに安心と信頼のシリーズになっている。全5作で舞台となる都市も毎回変わるようで、リオデジャネイロ、ベルリン、ローマがすでに予想されている(個人的にはマーケットを取り込む意味でも中国、日本などアジアが舞台になっても面白いと思う。ファンタビシリーズでは可能性はかなり低いだろうけど)。

初期の子供向けファンタジーから後半にはシリアス路線へ転換し、今では大人でも楽しめるドル箱コンテンツになったハリー・ポッターシリーズ、個人的にはこのスピンオフ全5作が終了してもまだまだ金になるので息長く続くと思う。ハリー・ポッターの前日譚か後日譚か、舞台は世界のどの都市か、色々と応用がききそう。007シリーズのような長寿になってもおかしくないし、ここ最近過去の焼き直しみたいなことばかりで正直飽きてきているスターウォーズシリーズより面白いことは間違いない(ただしローグ・ワンは傑作だった)。ハリポタシリーズ、所詮子供向けファンタジーと侮ることなかれ。

営業の魔法

ウォール街の狼が明かすヤバすぎる成功術」とあわせて購入。同書がトップセールスとしての心得や具体的な営業手法、顧客との付き合い方など営業全般なのに対して、こちらは営業としての基本的なマインドや商談の際の会話の進め方が中心になっている。ウォール街を読んだあとだとやや狭く薄い印象だが、定期的に読み返して営業マインドを思い出すには良い本。

日本史の論点

古代から現代まで、日本史のポイントについて現在主流とされる学説を浅く広く掴める一冊。

新しい発見も結構あり、例えば明治維新は単なる江戸の否定ではなく江戸と連続性を持った革新であったという見方は新鮮だった。主流な学説も日々変化しているので、学生時代に教科書で学んだこととは違う学説もあり知識のアップデートになる。

ウォール街の狼が明かすヤバすぎる成功法則

知人が読んでいておもしそうだったので、営業の参考にと思って読んでみた。

結論としてはかなり為になる内容だった。著者はセールスで成り上がってきたセールス営業至上主義で、営業としてのし上がるための心構えから具体的な営業手法について説明されている。特にセールス営業に関わる人なら一度読んでみると気づきが多いと思う。

高橋是清自伝(上)

この人のことはほとんど知らなかったが日露戦争時に財政面で活躍した、経済政策で手腕を発揮したとどこかで読んで個人的に気になっていた。明治の松方正義、昭和の高橋是清と言われるぐらいだから凄い人に違いないと思い手に取った一冊。

読んでみて思ったのはまず人との繋がりがものすごく濃いなということ。交友関係がかなり広くて、人生やキャリアの転機が何度もあったようだがほとんど人間関係からもたらされているように感じた。時代の違いなのかこの人の人望なのか、ろくに話せる友人さえいない自分とは人としての器が話にならないくらい違う。

また筋の通った性格で、間違いだと思ったことは上司相手だろうがはっきり言えることもすごいなと。自身の利益や保身だけでなく、国のためとか自分の信念のためとか大義や志を持つからこそできるんだろうか。10代で一人で渡米して生活してるのも強い。

意外に思ったのは20〜30代で職を転々としていて定職についていないこと。キャリアよりも自分に嘘をつかない、誇れる生き方を選んでいるようにも見受けられた。時代が違うのでキャリアという面では参加にならないが、大成する人はやはり志の高さや目線の高さ、人としての器の大きさが違うなということを思い知りました。

クレイジー・リッチ!

付き合った彼の実家が大富豪で、周りには妬まれるし彼の家族からも良く思われないしどうしよう…という話。彼氏の母親に気に入られようとしたりパリピ女達がウェーイしたり本筋はまったくどうでもよいが、主人公二人と良識ある何人かの友人の奮闘だけが唯一の救いだった。それだけに最後の結末にはガッカリで、おいおい、筋を通すんじゃなかったのかよと突っ込みたい。王道といえば王道だけど、庶民からすればどうでもよくてしょうもない上流階級の映画。

ただ主人公ニックと親友との友情にはグッときたし、男の友情っていいなあ、俺もああいう親友が欲しい…と寂しい気持ちになったよ。恋愛映画なんだけど主人公二人はそれぞれ親友の友情に支えられていて、むしろ友人の大切さが際立つ映画だった。一つ忠告するなら、20代後半くらいの結婚するかしないか微妙な年齢のカップルが見ると気まずくなるからやめた方がいいぞ。

ペスト大流行

人類史上でも類を見ないペストというパンデミックはなぜ起こったのか、歴史にどのような影響を与えたのか、純粋な好奇心からこの本を手に取った。
知らなかったが意外にもペストは歴史的に何度も流行していて直近だと19世紀に世界的に流行ったということだった。
その中で特に14世紀になぜ大流行したのかという点については、ペスト菌を運ぶネズミの大移動や、自然環境の悪化や飢餓による抵抗力の低下などの間接的な要因が複合的に重なったと書かれているが、明確な答えがないようだった。
また14世紀のペストが歴史に与えた影響も、それ自体が決定的に何かを変えたというよりも、時代の流れを決定づけた、変化を後押しした、というものだった。特におもしろいのはペストによって鏡のようにその時代が映し出されたという考えで、中世世界の14世紀の陰鬱さ・混迷具合に比べれば科学的・知的に進歩した17世紀は前向きですらあった(自信とも傲慢とも言える)というもの。
ペストは歴史上の役割を終えてしまったと書かれているが、ペストではない別の病気、あるいは大きな危機が将来人類を襲った時、どうなるかは想像もつかないが、あとから振り返れば、それがその時代を映し出す鏡になるのかもしれない。